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詩集「火の玉」
¥3,300
SOLD OUT
【概要】 人によっては見えたとも見えないとも、あるいは怪奇の類として存在しないともおもわれる火の玉。著者である黒川隆介は人間が暮らし、日々に起きては消えていくもののなかに他人は見落としているが自分だけが見えているような瞬間と錯覚を日夜とらえ生きている。 見えないものはこの世にないものとなるのか、見えている自分がこの世に余分なものとなるのかの狭間で今日も詩人は火の玉のような拳をふるう。 前作「この余った勇気をどこに捨てよう」以降にしたためた詩を収録。 目次を開き、目に止まったタイトルの詩に飛ぶことができるよう全詩を目次に一覧とした。 【装丁・造本】 無垢な赤い表紙には株式会社竹尾の「OK ACカード」を使用。書家 田中象雨書き下ろしの題字を赤のメタリックで箔押しし、一見赤い色面だけにもみえる表紙デザインは火というぼやけながらもそこにある強さと儚さを表現。 前作の重厚感とは趣向を変え、「詩集」が持つイメージを払拭する造本としてカバーと本体を分離し、金具を繋ぎとした朱色のゴムでそれらをまとめた簡素な仕様を採用。赤一色で印刷を施した本文は糸かがり綴じとし、読み手次第では表紙を外して読むことも可能になっている。 「この余った勇気をどこに捨てよう」に続き、o-flat inc.が装丁を担当。 【又吉直樹さん読後感想文】 ------------------------------------------- 『火の玉』拝読しました。 素晴らしい詩集でした。 「長旅」という詩で幕をあけますが、この詩が詩集全体の核でもあり、読み方でもあると感じました。 離れて離れて 離れないと詩は醸成されない 同じ場所や状況に留まり安堵するのではなく、危険を受け入れつつ、自身の感性に響くような野性の人間や風景との関わりを求めて、知らない街や他者と関わる。そうすることで、またいつもの街や人さえも新たに捉えなおすことができて、関係性を再構築することができる。 その循環こそが、黒川さんの血流を止めることなく、詩を生みだす機能として役割を果たしているのやなと感じました。 赤い文字で印刷された詩が血流のようでもあり、内容と合致していて必然性がありますね。 また、詩集のなかに時折り差し込まれる題のついていない警句のような言葉にも刺激を受けました。 有名になった同級生の卒業アルバムの写真をわざわざ撮って他人に送るような人生を送るな 流行しているものを思わず軽くみてしまう人間の性悪に名前をつけようか このようなリアルな言葉があることで、一旦深呼吸して他の詩に入ることができました。 また、あらゆることを捉えなおすという意味では、音楽や文芸に触れることも旅と似た効果があるのかもしれません。 詩集の後半に[紀行詩]が収められていますが、精神を旅させるだけではなく、実際に肉体をもって旅をして、その街に滞在することが、実践編として紡がれていることで、冒頭の「長旅」と呼応して、重層化しているように感じました。 一本一本の詩が煌めきを充分に放っていながら、それぞれが影響を与えあって、詩集全体としての密度が濃いものになり、作品性が高められているという構造にも凄まじいものがありました。 あくまでも無理やり言葉にしてしまうと、ですが。 言葉からも離れて 意味からもはなれて というのが、やはり詩の本質ですよね。解釈しきれない、言語化できない、なにより大きくもあり、なにより小さくもあるような、そんな得体の知れない感覚や現象を本来の日本語の文法や話法を超えたうえで、それでも言葉を駆使して掴みにいくという運動が詩というものなのかなと思いました。 「火の玉」は暗闇を灯す光であり、温もりであり、熱であり、人の魂であり、社会性も立場も宿に置き、酒を求めて夜の街を彷徨い歩く詩人そのものの姿でもあると感じました。 やはり生まれ変わるのが死んでからでは遅すぎる という言葉は自分も大切にしたいと思いました。生きてるうちに何度も生まれなおして、苦しさと喜びを同居させる産声みたいななにかを書きたいと思いました。 素面で読むと研ぎ澄まされた言葉や感覚が刺激的で、酒を呑みながら読むと、酒が3D眼鏡の役割を果たすかのように、立体的で優しくなる不思議な詩集です。 装丁も解説文も最高ですね。装丁の力で手元に置いておきたいし、解説文の力で再読したくなりました。 二度目はまた音楽と照らし合わせて読んでみようと思います。 この機会に読むことができて良かったです。このような詩集を作ってくれて、ありがとうございます。また呑みましょう! ------------------------------------------- ※配送の関係で1冊以上を同梱して梱包できないため、2冊以上購入される方はお手数ですが1冊ずつの購入を複数回に分けて行っていただけますと幸いです。 ※おおむね7日〜10日ほどでの発送となります。 詩集、ステッカーの質にはばらつきがあるため、ご理解いただける方のみご購入ください。
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詩集「この余った勇気をどこに捨てよう」
¥3,300
SOLD OUT
【概要】 2010年から2021年にいたるまでの12年間に黒川隆介が書き溜めてきた詩を日時の打刻とともに収録。現代から過去へと遡りながら時系列で詩を並べることで、同じ世界で同じ時を刻んで生きてきた詩人の言葉を読者が自らの過去と重ね合わせながら追体験できる構成としました。身近な命の喪失、記憶のなかで生き続ける友の面影、そしてコロナ禍で一変した世界―。淡々と流れながら、しかし決して同じ輪郭をとることのない日常を静かに書き留めた黒川の詩。その一遍一遍は、極めて私的な記録であると同時にどこか普遍的な響きを宿し、時に私たちの社会通念すら問いただす不思議な力を放ちます。 【こだわり】 表紙には、マットな質感ながらプラスチックを思わせる独特の手触りが特徴のイタリア産紙材「プライク‒FS」を使用。東京・神楽坂の望月製本所に在籍する熟練の活版印刷職人が一冊ずつ箔押しをほどこしました。さらに、本体の天地と小口には明治時代から続く井上紙加工所三代目頭首の手による天金加工をあしらい、紙の劣化と虫食いを防止。物質としての美しさを追求しながら、「読み物」として歳月を超えて時の潮流に耐えていけるだけのクオリティーを目指しました。 装丁はo-flat inc. 代表の永田洋平が、編集と巻末の解説執筆は編集者の菊池拓哉が手がけました。 【推薦コメント】 「生意気ですが27年のラッパー作詞稼業で様々な世界を自分なりに描き散らかして来ましたが、今もっともそして密やかに参考にしてるのがこの黒川の手帖です。」 RYO-Z(RIP SLYME) 【動画】 詩集「この余った勇気をどこに捨てよう」製作過程 https://youtu.be/KLkKPZXqM2w 【著者プロフィール】 本書の著者である黒川隆介は、神奈川県川崎市出身の詩人です。『文藝春秋』や『詩とファンタジー』へ詩を寄稿する傍ら、16歳より日常的に詩を書き続け、その作品数は2021年7月現在で1000を超えています。 マガジンハウス『POPEYE』や『POPEYE Web』、meethメディア『詩人 黒川隆介とお酒を嗜む』、タワーレコードのWebメディア『Mikiki』などで連載を持ち、詩人の傍らコピーライターとして企業の広告コピーも多数手がけています。 ※配送の関係で1冊以上を同梱して梱包できないため、2冊以上購入される方はお手数ですが1冊ずつの購入を複数回に分けて行っていただけますと幸いです。
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黒川隆介 詩ステッカー
¥450
「この余った勇気をどこに捨てよう」出版記念詩シール サイズはiphoneに貼ってちょうどいい具合い ※耐久力を上げた仕様で再生産したため、50円価格を上げます 新仕様は黒川隆介部分もステッカーになっています